がんと向き合い生きていく

治療薬急激進歩も ほくろのがんは暴れ出すと手に負えない

都立駒込病院の佐々木常雄名誉院長(C)日刊ゲンダイ

 悪性黒色腫とは、いわゆる「ほくろ」のがんのことで、メラニン色素細胞ががん化したものです。日本人の罹患率は白人よりははるかに少ないのですが、危険因子として紫外線への過剰な反復暴露があげられます。

 足の裏、爪などにできやすいのですが、顔、頭、四肢、陰部、果てはまれですが消化管など、どこにでも生じることがあります。皮膚にあることから発見しやすく、形が非対称、境界が不明瞭、急に大きく盛り上がってきた、色にむらがあるなどの場合は要注意です。皮膚科を受診されるのがよいでしょう。

 皮膚科では「ダーモスコピー」という特殊な拡大鏡で色調を詳しく調べ、診断確定には病変全体を切り取って病理検査を行います。ほくろの一部を引っかいて調べると転移を促すこともあるようで、悪性を疑う時は全体を切り取って調べます。

 転移の有無を調べる際は、胸部X線、CT、MRI、PETなどの画像診断機器が使われます。また、「センチネルリンパ節生検」という検査があります。初期の段階で、周りのリンパ節に転移していないかどうか、がんの場所から最初に転移すると考えられるリンパ節(センチネル=歩哨、つまり見張り番)を生検して調べる方法で、乳がんなど他のがんでも応用されています。センチネルリンパ節生検で転移が見つかった場合は、周りのリンパ節をできるだけ郭清します。

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佐々木常雄

東京都立駒込病院名誉院長。専門はがん化学療法・腫瘍内科学。1945年、山形県天童市生まれ。弘前大学医学部卒。青森県立中央病院から国立がんセンター(当時)を経て、75年から都立駒込病院化学療法科に勤務。08年から12年まで同院長。がん専門医として、2万人以上に抗がん剤治療を行い、2000人以上の最期をみとってきた。日本癌治療学会名誉会員、日本胃癌学会特別会員、癌と化学療法編集顧問などを務める。