Dr.中川のみんなで越えるがんの壁

マンモの見落とし率は15% エコーが本当に必要な女性は

小林麻央さんは享年34歳という早世(C)日刊ゲンダイ

 乳がんで亡くなった小林麻央さんは、享年34という早世だったこともあり、乳がんが注目されています。その早期発見から、マンモグラフィー検査(以下、マンモ)を受ける人が増えたという声が聞かれるほどです。

 マンモは、乳房専用のX線撮影装置。女性なら「痛い検査」としてご存じでしょう。乳房を圧迫板でギュッと挟み込むためですが、挟まずに撮影すると、乳腺や脂肪、血管などが重なって、腫瘍があっても見落としやすい。そのリスクを避けるのが圧迫で、そうすると被曝量も少なくて済むのです。

 そうやって検査することで、マンモは微小な乳腺の石灰化をとらえ、乳がんの早期発見につなげます。乳がんの初期症状の一つに、石灰化があるのです。

 マンモを適切に利用すれば、乳がんの早期発見に役立つのは事実。国際的に死亡率が低下することが証明されていることから、わが国でも乳がん検診に採用されているのです。

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中川恵一

中川恵一

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。