余命4カ月と言われた私が今も生きているワケ

予防より病気は悪くなってからジタバタするのが正しい

高橋三千綱氏(C)日刊ゲンダイ

 糖尿病の医者の多くは血糖値の数値ばかりを気にし、下げろ下げろとしか言わない人もいる。しかし、以前の糖尿病の薬は血糖値を下げるだけで、体はちっとも良くならなかった。むしろ、悪くなって低血糖に陥ることもある。

 ある日、私は運転中に低血糖になって呼吸困難になった。運転中に目が見えなくなるのだから、こんなに危険なことはない。そこで何人にも診てもらうと、ある先生がこう言ったのだ。

「高橋さん、薬はやめましょう。高橋さんの言う通り、患者が自分の体を一番よく知っています。元気な時に変なことはしない方がいい。予防なんてみんな言いますが、病気は悪くなってからジタバタすればいいのです」

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高橋三千綱

高橋三千綱

1948年1月5日、大阪府豊中市生まれ。サンフランシスコ州立大学英語学科、早稲田大学英文科中退。元東京スポーツ記者。74年、「退屈しのぎ」で群像新人文学賞、78年、「九月の空」で芥川賞受賞。近著に「さすらいの皇帝ペンギン」「ありがとう肝硬変、よろしく糖尿病」「がんを忘れたら、『余命』が延びました!」がある。