皮膚を科学する

皮膚科に聞いた “寒い・怖い”でなぜ「鳥肌」は現れる?

これから寒い季節に…(C)日刊ゲンダイ

「立毛筋は自分の意思で動かすことができない不随意筋(ふずいいきん)で、アドレナリン作動性の交感神経に支配されています。寒いと交感神経が活発に働きはじめ、アドレナリンの分泌が促進されて立毛筋が収縮するのです。皮膚表面の血管を収縮させるのも、同じように交感神経の働きによるものです」

 ちなみに立毛筋には副交感神経はない。だから心身がリラックスした状態で、副交感神経が優位のときに鳥肌が立つことは、まずあり得ないのだ。

「恐怖」や「感動」などの感情の高ぶりで鳥肌が立つのも同じメカニズム(交感神経の働き)。動物を観察して分かりやすいのは、犬や猫が危機に直面したときなどに「毛を逆立てる」現象だ。こういうときには「興奮性神経伝達物質」のアドレナリンがバンバン分泌されているという。

「寒いと立毛筋が収縮するということには、筋肉を動かして熱をつくり出す作用もあります。冬の脱衣所など急に寒いところに出ると、体が“ブルッ”と震えますが、これも体が熱をつくり出そうとすることで起こります。そして、極度に寒くなると体がガタガタと震えだします。この自分ではコントロールできない筋肉の動きも、熱をつくり出すために起こる体の防御反応なのです」

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