気鋭の医師 注目の医療

世界初! AIを使った画像診断でがん見逃しリスクを減らす

ただともひろ胃腸科肛門科の多田智裕院長(C)日刊ゲンダイ

 胃がん検診は浦和医師会が担当するだけでも年間5万~6万人分、200万枚以上の画像を専門医70人で1年がかりでダブルチェックをしている。それをAIに画像診断させれば、1年分がたった2時間で終わってしまうという。

 最初は、胃がんよりも比較的判別しやすいピロリ菌胃炎でAIの開発を始めたが、すぐ実行に移せたのは同院が年間1万件もの内視鏡検査(上部・下部含め)を行っている施設だからだ。いまは「胃がん」「食道がん」「大腸がん」のAIを並行して開発中という。

「胃がんのAIは、国内トップクラスのがん専門施設にも協力してもらい、ほぼ完成しています。撮影した静止画像だけでなく、検査中の動画でもがんのある場所を示してくれます。正答率は専門医を上回り、96%です」

 内視鏡のAIが普及すれば、患者はどこの施設を受診しても平均以上の精度の高い内視鏡検査が受けられることになる。がん医療の“均てん化”につながるわけだ。早ければ今年中に臨床現場で使えるように手続きを進めているという。

▽東京都出身。1996年東京大学医学部卒、2005年同大学院外科学専攻修了。東京大学医学部付属病院大腸肛門科、東葛辻仲病院などを経て、06年開業。東京大学医学部客員講師。〈所属学会〉日本消化器内視鏡学会専門医、日本大腸肛門病学会専門医など。

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