末期がんからの生還者たち

卵巣がん<1>「治療後の空虚感はがん患者に共通した苦悩でしょうか」

大塚美絵子さん(C)日刊ゲンダイ

 がん告知、会社退職、入院治療、治療費の捻出。抗がん剤の副作用では頭髪があらかた抜け落ち、それを隠すために、新たに買いそろえた帽子も10個を数えた。そして、自立を目指した会社の設立……。

「実を申しますと、がん治療が終わった後がつらかったですね。私は幸い治療後の経過が順調でしたので、日常の生活に向かう中、家族の期待にも応えたい、元通りの生活をしたいなどの思いがありました。しかし、十分な健康体ではありません。そこに孤立と孤独感が生まれます。今、私を支えているのは仕事ですが、何とも表現できないがん治療後の空虚感は、がん患者に共通した苦悩でしょうか」

 そう前置きし、大塚さんは6年間に及ぶ苦汁の体験を語り始めた。

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