「近視がひどくなると、網膜も引き伸ばされて薄くなり、網膜が裂けたり、はがれたりする。とくに網膜の中央にあってものを細かく見る黄斑部が傷つくと、失明の恐れがあります」
では、眼球はなぜ楕円形になるのか?
角膜炎を患い、その後、瘢痕や混濁が残って光を通さない角膜白斑になったり、メガネの過矯正で像のボケを生じたりするのもその理由に挙げられる。しかし、多くの人が想像するのは親の遺伝だ。
「“親が近視だから私が近視なのも仕方ない”という人もいますが、必ずしも正しいとは言えません。強度の近視の原因となる遺伝子も発見されていますが、一卵性双生児でも視力は違いますし、両親や祖父母が近視でないのに目が悪い子供たちは増えています。世代間の遺伝子変異はごくわずかですから、近視の激増は環境的要因によるものでしょう」