がんとは何か

<9>がんになる細胞とならない細胞の違いはどこにあるのか

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 皮膚と同じように短命の細胞はほかにもある。胃や腸など消化管を覆う細胞や赤血球や白血球などだ。

 消化管の粘膜は上皮細胞と呼ばれ、赤血球や白血球のような血球細胞とともに、いずれも短命だ。消化酵素や血管に侵入した病原菌などにさらされ、さまざまなダメージを受けるからだ。こうした上皮細胞が枯渇しないのは幹細胞のおかげだ。幹細胞とは、自らと同じ細胞を増やす能力(自己複製能)と、さまざまな細胞に分化する能力(多分化能)を持つ細胞のこと。どこで発生したか、どのような能力を持つかで、いくつかの種類に分かれていて、どんな細胞にもなれる胚性幹細胞や赤血球や白血球といった血液細胞になる造血幹細胞などがある。

 では、普通の細胞と幹細胞にはどんな違いがあるのか? 米国がん学会の会員で、最新のがん情報にも詳しい国際医療福祉大学病院内科学の一石英一郎教授が言う。

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