実際、HPV感染から子宮頚がん発症には数年から10年近い歳月が必要とされている。
「通常の炎症は治療の一過程であり、正常な状態であれば炎症反応は短期間で終了します。しかし、長期に持続する炎症は、その周囲にがんを促進させる炎症性の微小環境をつくり出すのです」
■予防効果の余地がある?
がんが「癒えない傷」といわれるのはこのためだ。微小環境には発がんに関与するがん増殖因子、活性酸素・活性窒素などが集まっている。
発がんに関連するのは細菌とウイルスだが、ウイルスには2つの種類がある。DNAウイルスとRNAウイルスだ。
「ヒトのような高等生物であれ、細菌であれ、細胞を持ち遺伝子情報(ゲノム)はDNAの中に納まっています。ところが、ウイルスには細胞がなく、遺伝情報がDNAであればDNAウイルス、同じく遺伝情報がRNAの形であればRNAウイルスになります」
がんとは何か