意外に知らないホルモンの実力

【血圧上昇ホルモン】脳に作用して塩分を取りたい気分に

塩分を取りたい気分に…(C)日刊ゲンダイ

 アルドステロンは腎臓からの塩の再吸収を高め、塩分を体にため込んで血圧を上げる作用があり、カリウムをゴミとして体外に排出する働きもしている。

 このように血圧上昇ホルモンは陸上の生物にとって欠かせないが、塩分の取り過ぎは高血圧の大きな原因になる。

 高血圧の治療薬(降圧剤)で最初に使われることの多い「アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬(ARB)」は、アンジオテンシンⅡが受容体に結合するのを妨げて、血管を拡張させ、血圧を下げる薬だ。

 アンジオテンシンⅡの産生が過不足を起こす病気はないが、アルドステロンが過剰に分泌される病気がある。「原発性アルドステロン症」だ。

「以前はまれな病気と思われていましたが、診断技術の向上で最近では高血圧患者さんの5~10%がこの病気だとみられています。典型的な症状は、高血圧と低カリウム血症ですが、低カリウム血症を伴わない場合もあります。また、正常血圧の原発性アルドステロン症も報告されています」

2 / 3 ページ

関連記事