がん発症の妻にしてあげた10のこと

<6>尾崎豊を歌わない「大ファンの妻が怒り出す」

小宮孝泰さん(C)日刊ゲンダイ

「四国に彼女の父方の祖父母が住んでいて、小学生の頃までは夏休みなどの休暇には里帰りすることもあったようで、そこでおばあちゃんと一緒に高橋英樹さんの『桃太郎侍』を見て好きになったらしいのです」

 佳江さんが学生の頃に好きだったのが、役者では真田広之だ。

「さすがに私と結婚してからは熱烈な真田ファンの姿は鳴りを潜めていましたが、真田さんが海外進出を始めた頃に再びお熱が上がってきました。真田さんがイギリスのロイヤル・シェークスピア・カンパニーの一員として日本に凱旋公演した『リア王』も一緒に見に行きました。真田さんが『ハムレット』(蜷川幸雄演出)でハムレットを演じられていた時は、妻に真田さんのサインを頼まれ、楽屋にお邪魔させていただいたこともあります。同業者にサインを頼むのは気が引けましたが、舞台後にシャワーを浴びてバスローブ姿のままの真田さんは丁寧に応じてくれたものです」

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小宮孝泰

小宮孝泰

1956年、神奈川県小田原市生まれ。明治大学卒。80年、渡辺正行、ラサール石井と「コント赤信号」でTVデビュー。91年に佳江さんと結婚。2001年、31歳の佳江さんに乳がん発症。12年に永眠。今年9月に、出会いから別れまでの出来事をつづった「猫女房」(秀和システム)を上梓。

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