天皇の執刀医「心臓病はここまで治せる」

妊婦が風疹にかかると胎児に心臓疾患が起こりやすくなる

天皇の執刀医 天野篤教授(C)日刊ゲンダイ

■再感染した人は要注意

 心臓疾患を抱えている人が風疹にかかるケースもあります。ただ、ウイルス自体が心臓に悪さをする危険はほとんどありません。風疹の症状が脱水を招いたり、血圧や心拍数をアップさせたりすることで、心臓に余計な負担がかかってしまう場合もありますが、そこまで神経質になる必要はないでしょう。

 むしろ、風疹にかかって持病が悪化するのではないかを心配するよりも、風疹の裏に何か大きな病気が隠れていないかを気にすることの方が重要かもしれません。風疹に一度かかった人は終生免疫を獲得して、再び風疹に感染することはまずありません。かつて、そうしたウイルス性疾患にかかっているのに、高齢になって再び感染した場合、終生免疫を弱めてしまうような病気がバックグラウンドにあるケースがあるのです。肺がんや大腸がんのように進行しないと症状が出にくいがんがその原因になっている場合もありますから注意しましょう。

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天野篤

天野篤

1955年、埼玉県蓮田市生まれ。日本大学医学部卒業後、亀田総合病院(千葉県鴨川市)や新東京病院(千葉県松戸市)などで数多くの手術症例を重ね、02年に現職に就任。これまでに執刀した手術は6500例を超え、98%以上の成功率を収めている。12年2月、東京大学と順天堂大の合同チームで天皇陛下の冠動脈バイパス手術を執刀した。近著に「天職」(プレジデント社)、「100年を生きる 心臓との付き合い方」(講談社ビーシー)、「若さは心臓から築く 新型コロナ時代の100年人生の迎え方」(講談社ビーシー)がある。

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