ステージⅣがん治療を断るとどうなる

医師が終末を宣告。しかし気力、生活に変化は少しもない

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 そして、医師は嚥下(えんげ)テストをした。コップ1杯の水を飲めと。入るわけがなく、医師と看護師の前でむせて吹き散らした。医師は「栄養が取れるよう処方箋を出しときます」。それは「エンシュアH」というタンパク質を主体とした缶入りの液状の栄養剤だった。看護師ですら「飲めないのでしょう」と言うのに、だ。さらに医師は言った。

「私には飲み込めない状態が分かりませんが、頑張ってみてください」

 心ない言葉に聞こえた。

 退院後、家に息子夫婦が見舞いにやって来た。持ってきたのが目黒・蛸薬師の御撫石(おなでいし)だった。「信じて願えば何でも治る」といわれる御撫石。黒い石で、これで御真言を唱えながら毎日1時間以上患部をなでると諸病に効能があるという。“願をかけた”石に込められた気持ちが、副交感神経の働きを良くすることは間違いない。毎日行っている。

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笹川伸雄

笹川伸雄

ジャーナリスト。1946年、宮城県生まれ。医、食、健康のジャンルを得意とし、著書に「妙薬探訪」(徳間文庫)など

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