「断酒」か「減酒」かを選択 変わるアルコール依存症治療

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 断酒率にこだわれば、治療の動機づけが低い人を排除し、断酒意欲の高い人のみを治療対象とする方がいい。しかし、それでは“動機づけの高い患者”しか治療を継続できない。

「依存症は再発を繰り返しながら回復していく病気です。医療機関としてアルコール依存症治療の最終目的は、死を防ぐこと。断酒と減酒の2つの方法で治療に取り組めれば、治療につながる人も増えるでしょう」

 減酒といっても、「アルコールを適度に飲み、上手に付き合っていく」という意味ではない。アルコール依存症は、すでにアルコールと上手に付き合っていくことが不可能になった状態。だから基本は、どのようにして酒のない生活を送るか。現代のアルコール治療は断酒一辺倒ではなく、動機づけを高めながら、さまざまな角度からアプローチしていく。入り口は断酒か減酒であっても、ほかの治療法との組み合わせで、目指すのはアルコールと完全に袂を分かつことだ。なお、レグテクトやセリンクロは、抗酒剤との併用も可能。この2つを服用して断酒を目指す患者もいる。

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