若者だけじゃない…「性嫌悪症」は中高年にも広がっている

男女の違いを理解して妥協点を見いだす

「性嫌悪症」をご存じか? 身体的な問題がないのに性的な接触やムードを極端に嫌って避けようとする症状のことだ。かつては若い女性特有の症状といわれたが、いまは若い男性や既婚の男女にまで広がっている。日本性科学会会員で精神科医である「彩の国みなみのクリニック」(埼玉・南浦和)の塚田攻院長に聞いた。

 20代前半から結婚相談所に入会するなど、婚活に励んでいたA子さん。何人かの男性と交際したが、30歳を前にしたいまでも結婚話がまとまらない。心配した両親がA子さんに話を聞いたところ、中学時代に痴漢に遭い、それ以来、男性から触れられると想像することさえ嫌だという。

「異性に興味はあるけれども性行為に踏み切れない女性は昔からいます。その原因は親の潔癖なしつけやA子さんのような小さい頃の不快な経験などさまざま。それがこじれてトラウマとなる人もいます」

 実際、「キャット・ピープル」(1942年)、「反撥」(1964年)、「ブラック・スワン」(2010年)など性嫌悪症の女性を描いた映画が数多く発表され、その複雑な思いが表現されている。強引にキスをされた後に狂ったように歯磨きをする一方で、誰もが普通にしているセックスを自分はできないという劣等感。愛する男性に性的な我慢を強いる罪悪感。それゆえに浮気されるのではないかという不安感などにさいなまれる。

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