肺がん治療最前線 新たな新薬発売で選択肢は5つに増えた

副作用少なく腫瘍が小さくなる(C)共同通信社

 近畿大学医学部内科学教室腫瘍内科部門・中川和彦教授が言う。 

「最初に登場したのが2002年承認の『ゲフィチニブ(商品名イレッサ)』です。それまでⅣ期の非小細胞肺がんは予後が悪かったのですが、ゲフィチニブは白血球が下がらず(副作用が少ない)、腫瘍が小さくなる。これは衝撃的でした」

 ただし、ゲフィチニブの効果は一時的で、治療を受けた半分の患者は10カ月ほどで効かなくなる。EGFR―TKIへの特定の耐性遺伝子(T790M)が現れることで薬が効かなくなる確率は50%。それ以降「第2世代」のEGFR―TKI「エルロチニブ」「アファチニブ」が開発されたが、副作用が強いなどの問題点があった。

■副作用少なく腫瘍が小さくなる

 そして18年、副作用が比較的少なく、ゲフィチニブよりも耐性遺伝子が現れにくい薬として登場したのが「オシメルチニブ(商品名タグリッソ)」だ。今回の新薬ダコミチニブは、オシメルチニブに続く薬になる。

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