一滴からのがん検診

2020年1月に実用化「N-NOSE」 線虫が尿の匂いからがん検知

子供でも受けられる(提供写真)

 2020年の1月から実用化される「N―NOSE」は、尿の臭いを線虫に識別させることでがんのリスク評価をする、世界的にも画期的な、生物によるがん検査だ。

 Nは、線虫を表す英語のNematodeから。NOSEは鼻、つまり嗅覚を表す。犬の嗅覚を利用したがん検査はこれまで例があったが、犬の嗅覚受容体は約800個なのに対し、線虫は約1200個。より高い精度が期待されており、オーストラリアなど、海外からも早くも注目されている。開発から実用化までを手掛ける株式会社HIROTSUバイオサイエンスの事業本部長・三沢一弘氏が言う。

「当社代表取締役の廣津崇亮が大学の研究室にいた頃、犬によるがん検査が注目されていました。しかし、犬には飼育のコストや、集中力を持続させなければならないなどの問題があります。これに対し、線虫は飼育コストが安く、本能的な行動を取るので、よりよい検査ができるのではないかと研究を始めたのが、同社設立のきっかけです」

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