心と行動を変える健康革命

医師よりデータ ウエアラブル端末が患者を積極的に変える

(C)日刊ゲンダイ

「計測データを得ることで患者さんが自分を“実験材料”“観察対象者”として客観視するようになるのです。そして血糖値が上がるのはなぜか(問題の発見)、それを抑えるには何を食べればいいのか(仮説の設定)、それを実際に食べたときの実験データを分析し、結論を得て、さらに問題点を考える。健康を科学的に考えられるようになるわけです」

 その間、自身も知らなかった意外な事実に気付かされるという。

「私もこの装置を使い、血糖値の近似値を測定しました。私の場合、診療の合間におにぎりとシュークリームを食べたときの測定値は急上昇したのですが、その一方で病院から帰宅し、ネクタイを外してリラックスしながらすき焼きを食べビールを飲んだときは、血糖値は大きく上がりませんでした。診察を終えて、ほっと一息ついた後に会食したときも、測定値は上昇しません。同じ飲食をしてもリラックスしていれば血糖値は大きく上がらない。改めて食べるときの環境の大切さを実感しました」

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横山啓太郎

横山啓太郎

1985年東京慈恵会医科大学医学部卒。虎の門病院腎センター医員を経て現在、東京慈恵会医科大学教授。同大学晴海トリトンクリニック所長。

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