Dr.中川のみんなで越えるがんの壁

大腸がん早期発見の要 検便の「偽陰性」を防ぐ3つの工夫

手術後初めてチームに合流し取材に応じる阪神の原口文仁選手(C)共同通信社

 今週末の東京は最高気温が30度を超えるといいます。

 電車の中は冷房が効いていても、キットを入れたカバンは体に密着していることが多い。だから保冷剤で低温をキープすることが、正しく検査をする上でとても大切なのです。

 3つ目がビタミンC。ビタミンCは、ヘモグロビンの作用を相殺する性質があります。採取の前に果物やサプリなどでビタミンCを取り過ぎると、偽陰性になるリスクが高いでしょう。

 進行がとても速いタイプもありますが、一般に大腸がんは進行が遅く、3年ほどは無症状。それでも、「毎年、検便を受けていたのに、見つかった時は手遅れ」といった悲劇を耳にすることは珍しくありません。そんな悲劇の裏に、このような事情が影響している可能性は否定できないのです。

 1回の採便で大腸がんが見つかる確率は45%ですが、2回で70%にアップ。理論上は、3年続けて受ければ、97%の発見率に上昇します。古くさくても有効性は明らかですから、偽陰性を防ぐ工夫が大切です。

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中川恵一

中川恵一

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

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