脊髄損傷でも車イスや寝たきりにならない再生治療が登場

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■まずは急性期の患者の治療を確立

 他人のiPS細胞からつくった神経のもとになる細胞を患者の脊髄に直接移植する世界初の治験計画が厚労省に了承されたのが、慶応義塾大学の研究チーム。脊髄損傷から2~4週間が経過し、運動および感覚が麻痺した患者が対象。今年秋からスタートする。1年かけて4例を組み入れ安全性や効果を確かめる。

「慶応大では、脊髄損傷間もない患者さんにHGFという栄養因子を投与する治験も行っており、これはすでに終了。恐らく審査後、HGFを用いた治療も近く臨床現場での使用ができるようになる。脊髄損傷患者さんの治療選択肢がまた一つ増えることになるのではないでしょうか」

 この治験については、患者の約半数で改善が見られたという研究結果が、今年3月の日本再生医療学会で発表済みだ。

 脊髄損傷には、損傷を起こしてそれほど時間が経っていない急性期・亜急性期と、時間の経過した慢性期とがある。今、行われている研究のほとんどが、急性期または亜急性期の脊髄損傷を対象としたもの。

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