「臭覚検査」をきちんと受けるべき理由 鼻と嗅覚と記憶障害

子どもは勉強嫌いにも影響(C)PIXTA

 匂いの喪失は記憶や集中力の喪失だけにとどまらない。命を危険にさらすことでもある。

「匂いが感じられなくなると食事の楽しみが減るだけでなく、腐りかけの食べ物やガス漏れ、コンロの火の消し忘れなどに気付かずに危険な思いをすることにもなりかねません」

「がん探知犬」の例もあるように人は体調により体臭が変化する。虫歯や歯周病があれば強い口臭が出るし、胃腸が悪ければ酸っぱい匂いがする。

 相手の考えや思いを理解するうえでも匂いの喪失は大きなマイナスだ。人は緊張すると皮膚から「ストレス臭」を出すことがわかっている。性的興奮があれば、異性を強く意識する匂いを発する。女性が優しい気持ちになれば癒やしの匂いを発する。嗅覚を失うことは相手を理解するためのコミュニケーションツールを失うことでもあるのだ。

■手間がかかり過ぎて医療機関が消極的

3 / 5 ページ

関連記事