歯の疑問 ずばり解決!

歯周病は日本人の死因5位である肺炎の発症リスクを高める

誤嚥の多くはのみ込む筋力の低下

 実は肺炎は2016年のデータでは死因の第3位でした。それがこの2年ほどで約2万人減ってきていて、その要因のひとつに「オーラルフレイル」への取り組みが挙げられます。オーラルフレイルは咀嚼(そしゃく)機能・舌運動・嚥下機能など口腔機能が低下した状態です。そのような患者さんに対し、在宅歯科診療の保険点数が見直されて訪問歯科診療を行う診療所が大幅に増え、それにより歯科医師や歯科衛生士による摂食・嚥下リハビリテーションが積極的に行われた結果ではないかと考えられているのです。しかし、まだまだ病院や介護施設に歯科が設置されているところが少なく、訪問歯科診療は急性患者向けが主で、予防や口腔機能の回復といった維持的な治療が行われにくいのも現実です。

 患者さんの中に、100歳を越えてなおご家族と一緒に診療所に足を運んでいただいている方がいらっしゃいます。会うたびに笑顔で挨拶をされ、健やかに過ごされているのがわかります。しかし、どうしても通えなくなってからのことが心配ですので、今のうちに訪問歯科診療の対応をしてくれる歯科医師にバトンを渡さなければと考えています。 (構成=小澤美佳)

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北沢伊

北沢伊

1977年7月8日、長野県生まれ。斉藤歯科医院院長。2003年に日本大学松戸歯学部を卒業。同年から同院に勤務し、13年から院長に就任した。若手歯科医師に向けたセミナーの講師を務め後進の育成にも取り組んでいる。日本口腔インプラント学会専門医。千葉県歯科医師会所属。

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