膵がんを知る

膵がん根治を目指すには手術だが…80歳超の手術はアリか

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 先ほどお話ししたように、これらのデータは後ろ向き研究から得られたものです。すでに、データ採取が完了していて、対象者の不均一性やデータの欠損があってもそれを補うことができません。そのため、必ずしも正確な状況を反映しているとはいえません。さまざまな意見が出るのは当然です。

 実際、「膵癌診療ガイドライン2019年版」を作成した委員の先生方の投票結果は「行うことを推奨する(強い推奨)」は3%(1人)、「行うことを提案する(弱い推奨)」は92%(35人)、「推奨なし」は5%(2人)となっていて、最終的なステートメントは「本人が外科的治療を希望し、全身状態が許せば、80歳以上の高齢者膵癌に対して外科的治療を行うことを提案する。しかしながら、推奨を行うためのエビデンスに乏しいデータしかなく、今後の研究の結果が待たれる」推奨の強さ:弱い、エビデンスの確実性(強さ):D(非常に弱い)としています。私自身は、基本的に手術の選択は患者さんの意思に任せるべきと考えています。

(国際医療福祉大学病院内科学・一石英一郎教授)

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