便失禁には、自分でも気づかないうちに漏れてしまう「漏出性便失禁」(全体の49%)と、我慢できずにトイレに着く前に漏れてしまう「切迫性便失禁」(同16%)、その両方を併せ持つ便失禁(同35%)がある。何が原因で、どんな人に起こりやすいのか。自治医科大学付属病院・消化器外科(排便機能外来)の味村俊樹教授が言う。
「最も多いのは、肛門を締める筋肉(内肛門括約筋)が加齢によって弱くなって起こる漏出性便失禁。自然分娩で出産した女性も肛門括約筋や神経がダメージを受けると起こりやすく、初産では約10%の人に便失禁が起こるようです。複雑な痔ろうや直腸がんの手術で、肛門括約筋を切るようなケースでも便失禁のリスクが高くなります」
肛門括約筋や神経に問題がなくても、過敏性腸症候群で直腸の知覚過敏があると切迫性便失禁を起こしやすくなる。
病気を近づけない体のメンテナンス