そんな遺伝子の多様性が、治療にも悪影響を及ぼします。従来の抗がん剤もホルモン剤も、最新の分子標的薬も、薬を使い続けるにつれて、次から次へと遺伝子変異を生じるため、薬がだんだん効かなくなるゆえんなのです。
その点についても、今回の臨床試験は有望な結果が得られています。薬を効かなくすることに関与する遺伝子変異が、2剤併用と単剤で差がありませんでしたから、次の分子標的薬の治療につながる可能性が示されたのです。
私の専門である放射線でも、一度照射したところにできた再発病巣は、放射線が効かないことが珍しくありません。しかし、いろいろな治療をブロックするがんですが、免疫療法と放射線の組み合わせによって、とても大きな治療効果が得られることが分かってきました。その点については次回お話しします。
Dr.中川のみんなで越えるがんの壁