進化する糖尿病治療法

糖尿病は治らない…はかつての話 ポイントは早期治療にあり

集中的に体重コントロールに取り組む(写真はイメージ)/(C)日刊ゲンダイ

 ある患者は、体重の適正化によって、肝臓の脂肪蓄積は30・4%から1・3%に、膵臓の脂肪蓄積は8・9%から7・5%に減少し、インスリン産生にかかわるβ細胞が正常化して膵臓が再起動。必要な量のインスリンを分泌できるようになり、2型糖尿病が“治った”のです。

 なお、2型糖尿病から離脱できた群の糖尿病の罹患期間は平均2・7年、改善しなかった群では平均3・8年でした。

■体質が“リセット”できる

 この「DiRECT」は継続して行われており、2型糖尿病から離脱できなかった人の原因を遺伝子レベルで追究することを目指しているとのこと。

 いずれにしろ、この研究から推測できるのは、糖尿病を発症して早い段階で徹底した体重コントロールに努めれば、内臓脂肪が減少し、膵臓が再起動する。

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坂本昌也

坂本昌也

専門は糖尿病治療と心血管内分泌学。1970年、東京都港区生まれ。東京慈恵会医科大学卒。東京大学、千葉大学で心臓の研究を経て、現在では糖尿病患者の予防医学の観点から臨床・基礎研究を続けている。日本糖尿病学会、日本高血圧学会、日本内分泌学会の専門医・指導医・評議員を務める。

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