骨と筋肉の疑問に答える

五十肩みたい…マッサージ店でもみほぐしてもらっていい?

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 最初は胸や腕、肩甲骨周辺、背中に違和感や凝りが生じてきて、徐々に痛みに進行していきます。進行すると癒着性関節包炎となり、肩関節可動域が制限されていきます。

 3つの病期があり、滑膜炎のために痛みが生じて徐々に強まり関節可動域も次第に小さくなっていく「痙縮期」、痛みは軽減していくが関節可動域の制限が続いて日常生活に支障をきたす「拘縮期」、痛み、関節可動域ともに軽快していく「回復期」です。一般的に治るまでは6カ月から2年かかるといわれています。

 私が病院に行かずにマッサージ店に行くのに反対するのは、この病気には似たような症状がありながら、別の病気が複数あるからです。例えば、「上腕二頭筋長頭腱炎」「石灰沈着性腱板炎」「肩腱板断裂」です。これらの病気と五十肩を鑑別するにはX線で骨密度と骨の変形を確認し、MRIや超音波エコーなどで腱板断裂や軟部組織損傷の診断を行わなければなりません。これらの病気ときちんと鑑別せずに治療をすると、かえって体調を壊したり、治療が長引いたりすることになりかねません。腱が断裂しているのにマッサージをすれば治るどころか逆に別の腱に損傷を与えることになりかねないのです。

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水井睦

水井睦

みずい整形外科院長。日本整形外科学会認定専門医、同会認定脊椎脊髄病医、同会認定リウマチ医、日本体育協会認定スポーツドクター。1995年北里大学医学部卒業。横浜市立大学医学部整形外科入局。大学病院、国立病院などを経て、2005年から東京・祐天寺にて開院。

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