Dr.中川 がんサバイバーの知恵

新型コロナウイルス がん患者は抗がん剤治療後に特に注意

消毒はアルコール入りタイプを(C)日刊ゲンダイ

 がんも、年齢とともに発症リスクがアップ。男性の場合、55歳までにがんになる可能性は5%程度ですが、65歳では15%にアップし、75歳では30%を超えます。

 遺伝子の経年劣化で、年齢とともにがん細胞が増えるばかりか、がん細胞は免疫を抑える働きもある。前述の中国の疾病管理予防センターの報告では、がん患者の致死率は5・6%。新型コロナの死亡者ががん患者で高いのも、高齢者に多いのも、免疫力の低下が原因といえるでしょう。

 そのほか循環器病の人の致死率は10・5%、糖尿病は7・3%など、持病がある人の致死率が高いのも、免疫力低下が要因といえます。

 その状況を踏まえると、十分な免疫力があれば、新型コロナは軽症で済み、軽い風邪のような症状で済むと考えてもいいでしょう。

 コロナウイルスには複数のタイプがあり、中には重症肺炎を起こすMERS(中東呼吸器症候群・致死率35%)やSARS(重症急性呼吸器症候群・同10%)のようなタイプもありますが、多くは風邪の原因ウイルスです。一般の風邪は10~15%がコロナウイルスといわれますから(流行期は35%)、今回の新型も、十分な免疫力があれば乗り切れる可能性が高いと考えられます。

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中川恵一

中川恵一

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

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