緊急企画 新型コロナを正しく恐れる

嗅覚味覚がなくなるのはウイルスがニオイに関わる粘膜や神経を障害している可能性

PCR検査で陽性と判定された阪神・藤浪投手(C)日刊ゲンダイ

 となると、ウイルスによってにおいを感知する粘膜や細胞が障害されている可能性もある。われわれがにおいを感じるのは、鼻から入ったにおいの分子が鼻腔の奥の最上部にある「嗅上皮」という粘膜に溶け込み、嗅上皮にある嗅細胞が発した電気信号が嗅神経、嗅球、脳へと伝達されることで生じるといわれている。

「新型コロナウイルスによって、なぜ嗅覚障害や味覚障害が起こるのかについてはまだ分かっていませんが、ウイルスによって嗅上皮が障害されている可能性があります。においの信号を伝達する嗅神経や、もっと奥の中枢性の神経に障害が起こっていることも考えられます。味覚障害については、中枢性の神経が障害されるとのみ込みが悪くなるケースもあるので、そこまで異常が起こっていることは考えづらいといえます。また、風邪症状で嗅覚や味覚がなくなっている人を調べると、体内の亜鉛が減っているケースがあります。ひょっとしたら、ウイルス感染によってそうしたにおいに関わる特定の成分が減少している可能性もあります」(大場氏)

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