「siRNAによるRNA干渉は、植物や線虫などでは自然に備わっているウイルス感染予防機構です。ヒトの場合、miRNAがRNA干渉を誘導しますが、近年になって化学合成したsiRNAがヒトの細胞でもRNA干渉を誘導することが分かりました。siRNAには、標的とする遺伝子に対する特異性が高いという特徴があります。今回でいえば、新型コロナウイルスの遺伝子だけを狙って抑制して、他の遺伝子には影響を及ぼしません。つまり、薬として使った時に副作用が少ないということです」
一方、miRNAは1つでたくさんの遺伝子に対して働く。植物や線虫に比べヒトにはさまざまなたくさんの臓器があるため、siRNAのように1対1で対応するシステムは効率が悪いのだ。
「逆に言えば、miRNAを使うと標的以外の遺伝子に作用してしまうということです。ですから、特定のウイルスの遺伝子だけを狙うには、siRNAが適しているのです」