また、siRNA核酸医薬品はすでに製品化されていて、「トランスサイレチン型家族性アミロイドポリニューロパチー」という病気に対する治療薬として使われている。新型コロナウイルス用として開発する際、参考にできる製品化ノウハウが蓄積されているのも期待が大きいポイントだ。
■細胞の中にどうやって到達させるか
ただし、まだ課題は多い。遺伝子の長さを表す「塩基」の数を見ると、siRNAの21塩基に対して新型コロナウイルスは約3万塩基と膨大だ。ウイルスの増殖を阻害するRNA干渉を最も効率的に起こさせるには3万塩基の中から最適な21塩基を選び出し、その配列に対応したsiRNAを合成しなければならない。
「どの部分の21塩基を取り出せば最適なのかは現在も研究中ですが、そこまで時間はかからないだろうと予想されています。いまはスクリーニングの技術が進歩していて、ウイルス遺伝子のどこの部分がホットスポットなのか、ある程度予測がつくからです」