食べ過ぎ・ストレスによる胃の不調…“テレワーク胃弱”かも

秘策はお手軽スクワットと「あ」の付く4つの食事を避けること

 新型コロナ騒動の緊急事態宣言で自宅にこもってテレワークをする人が増えている。が、それによって胃の調子を崩すケースが増加しているという。この“テレワーク胃弱”、どう対処すればいいのだろうか。

「在宅ワークや外出できない生活環境、それにともなう食生活の変化、運動不足によって、胃に不調をきたす方が増えています」と話すのは、「おおたけ消化器内科クリニック」(東京都港区赤坂)の大竹真一郎院長。

 しかしながら、胃もたれなどの胃の不調は、胃カメラで検査をしても何も異常がないことが多いのだと大竹院長は言う。

「『胃もたれが辛いんです』と訴える患者さんを胃カメラで調べても、何も異常がないというケースは本当に多いですね。こうした症状には『機能性ディスペプシア』(以下FD)という病名が付けられています。このFDの患者さんは、ほとんどの場合、胃腸の動きが悪くなっているのです」

 胃の動きが悪くなっている理由の1つは運動不足だと大竹院長は指摘する。

「対処方法としては、毎日ウオーキングを心がけることです。人の少ないところを選んで1人で散歩すればコロナ感染のリスクも心配ないはずです」

 それでも感染が心配だと言うのなら、家の中で軽くスクワットをするといいそうだ。

「あくまでもスローペースで、無理のないようにすることが肝心。胃や腸の周辺の筋肉を動かすことによって胃腸の動きをよくしてくれたり、便を押し出してくれたりします。激しい運動や息むような筋トレは腸の動きを止めてしまいます。ウオーキングや、ゆったりしたスクワットなど、ゆっくり深呼吸しながらする運動が胃や腸のためにはいいのです」

「おおたけ消化器内科クリニック」の大竹真一郎院長
脂っこいもの、味の濃いもの、甘いもの、アルコールは控えたい

 食生活は、どんなことに気をつければいいのか。

胃もたれを起こしやすい食事には『あ』の付くものが多い。それは、脂っこいもの味の濃いもの甘いものアルコールです」

 胃の動きが悪い時の症状としては「胃もたれ」の他に、「早期膨満感」と呼ばれる、お腹は減っているのに食べるとすぐにお腹がいっぱいになってしまったり、お腹が張ってしまう症状もある。

「この早期膨満感も胃の動きが悪くなっているサイン。この場合も、運動不足の解消である程度はよくなるはずです。胃の動きが悪いことに加えて、胃の症状が出やすい人は、先にお話しした『あ』のつくものをなるべく避けるようにしてください」

 家ごもり生活を続けるとついつい間食をしがちだが、この間食も胃もたれを起こしやすくなる原因になると言う。

「だらだら食べ続けるのは腸内環境を悪くし、お腹の不調や症状が出やすくなってしまいます。胃の不調症状を起こしにくくするには、やはり規則正しい食生活が大切なポイントなのです。もしも小腹がすいた時は、ナッツ類を食べるといいと思います。ナッツ類に含まれるオイルは体によい油が多いので、心臓病などの予防につながると言われていますし、ナッツを噛むことである程度満腹感が得られるからです。実際、週に7回以上ナッツ類を食べると寿命が延びるという米国大学のデータもあるのです」

 米ハーバード大学医学部のチームがおよそ12万人を対象に大規模調査をしたところ、ナッツ類を食べる頻度が増えるほど心臓病などでの死亡リスクが低下することが分かったそうである。

胃の不調症状緩和効果が報告されている乳酸菌もある

「もうひとつ、胃もたれなどの症状を起こしやすいといわれているFDに効果が認められている乳酸菌のヨーグルトもあります。こうしたヨーグルトで胃もたれ症状を解消することが可能かもしれません。FDの改善効果が論文で報告されている乳酸菌もあるのです」

 FDの改善効果が報告されているのはLG21乳酸菌と呼ばれる種類の乳酸菌。臨床研究によってFDの改善にも役立つことが研究報告され、スイスで発行されている医学専門誌「Digestion」に掲載されたのだ。特に、食後の胃もたれや早期膨満感の症状が大きく改善されたと報告されていることに注目したい。

「コロナ騒動は、私たちの生活環境や生活習慣をガラリと変えてしまいました。そのために胃の調子が悪い人がどんどん増えています。“テレワーク胃弱”に陥らないためにも、普段とあまり変わらない生活パターンに近づけることが大切です。逆に言えば、胃の調子が悪くなってきた時は生活のリズムが崩れていることが多いので、そのリズムの崩れを見直すチャンスだと考えてください」

 胃の調子を気遣えば、日々の食事も楽しくなり、外出自粛で疲れた体も心も癒されるにちがいない。

胃腸の運動を促すスクワット

 胃腸まわりの筋肉に加え、おしりと太ももの筋肉を鍛える。

①両足を肩幅よりやや広めに開く。そして、膝とつま先の向きは同じに。
②息を吸いつつ、ゆっくり膝を曲げる。膝がつま先より前にでないようにすること。それに、膝とつま先向きが同じであること。この2点に注意したい。
③息を吐きつつもとの姿勢に戻す。
④この動きを繰り返し行う。

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