今こそ知っておきたい抗ウイルス薬

ウイルス感染症はウイルスの増殖で起こるトラブルが問題に

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 ウイルス感染症は「感染」そのものが問題なわけではなく、ウイルスの増殖によって臓器で炎症が起こり、臓器の機能が低下することが問題なのです。感染したからといって、増殖しなければ症状が出ないケースもあります。その場合には「症状がないまま治る」ということになります。ただし、潜伏期間が長いものや、一度かかるとウイルスが体外に出ていかないものもありますので、いま症状はなくてもいずれ問題になる場合もあります。

 つまり、ウイルス感染症の治療は、ウイルスの増殖とそれに伴う炎症をできるだけ早期に抑えて臓器へのダメージを最小限にすることで、体の機能を正常化するのが目標となります。

 感染の症状が進行した場合、ウイルス量が減っても臓器不全で亡くなるケースもありますから、できる限り早い対応が望ましいといえます。

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神崎浩孝

神崎浩孝

1980年、岡山県生まれ。岡山県立岡山一宮高校、岡山大学薬学部、岡山大学大学院医歯薬学総合研究科卒。米ロサンゼルスの「Cedars-Sinai Medical Center」勤務を経て、2013年に岡山大学病院薬剤部に着任。患者の気持ちに寄り添う医療、根拠に基づく医療の推進に臨床と研究の両面からアプローチしている。

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