病の克服は患者に聞け

新型コロナ<番外編>ウイルスを抱えたまま退院を受け入れた

実業家の渡辺一誠さん(提供写真)

 渡辺さんは、「病院に、退院を1度は断りました。でも、体が回復したことで、重症の患者さんに病床を空けることを優先しました」と言う。

 これが退院の真相で、渡辺さんは、懸念されていた医療崩壊を図らずも経験したことになる。

「コロナウイルスを抱えて退院」など、気持ちはすっきりしなかった。頭の中で、霧がかかっているようなあんばいである。

 退院時、保健所から、「この陽性の状態で、2週間自宅で待機をしますと陰性と見なします」と説明された。

「自宅待機2週間で陰性になる?」

 渡辺さんは、保健所の説明を聞き間違えたかと思い、あらためて担当医師に確認すると、「希望があれば退院2週間後、保健所の方でPCR検査を行ってくれます」と言われたという。

 ほぼ3週間に及ぶ入院生活で渡辺さんは連日、テレビや新聞報道に触れてコロナの知識が随分と豊かになった。米国では、コロナの保菌状態を6週間とみているらしい。その点、日本は、そんな曖昧な陰性基準で大丈夫なのだろうか。

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