病の克服は患者に聞け

新型コロナ<番外編>ウイルスを抱えたまま退院を受け入れた

実業家の渡辺一誠さん(提供写真)

 もう1点、渡辺さんが陽性反応のまま退院するにあたって大きな疑問が湧いていた。退院当時、成田国際空港では、海外からの渡航者や帰国者に、自宅やホテルでの2週間滞在を要請していた。併せて、空港からの移動に公共の交通機関を使用しないことも、日本に入国する条件になっていた。感染者数を抑えるためである。しかし、コロナウイルスの陽性を持つ退院患者は、帰宅は自由でも、移動手段の条件はない。

 渡辺さんは、「病院から自宅に帰るまで、果たして、人に接触しないで帰れるのかという疑問が出てきました。入院するとき、病院からタクシーに乗らないようにと忠告されて、だるい体で会社から歩いて来たのです。退院後は、ウイルスを抱えて、どこまで人と接触してもいいのかと迷ってしまいました」と言う。 (つづく)

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