体温を下げない冷感グッズは熱中症リスクをむしろ上げる

暑い夏には扇子やうちわは欠かせないが…(C)日刊ゲンダイ

 額に貼る冷却シートは、ジェルに含まれる水分が蒸発する際の「気化熱」によって、接している部分の温度を下げる。

「ただし、あくまでも限られた部分の温度が一時的に下がるだけで、深部体温までは下げられません。局所を冷やす氷枕も同じです。熱中症の予防では、水分補給のほかに深部体温=脳を冷やすことが重要になります。ですから、熱中症の症状が出た場合、首筋や脇の下など太い血管が通っている部分を冷やすことが常識になっています。全身を流れる血液を冷やすことで深部体温=脳を冷やすためです。冷却シートを額に貼っても脳までは冷えませんし、タオルやスカーフの冷却効果は短時間で持続性がありません。いずれも深部体温を下げる効果までは期待できないと考えていいでしょう」

 夏場に多く出回るいわゆる「クール入浴剤」の使い方にも気を付けたい。

 暑い中、風呂に入ってじっくり湯船に漬かっても体がひんやり感じる。このタイプの入浴剤の多くも、メントールによる錯覚で冷たさを感じさせている。

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