新型コロナ後遺症の正体

心筋障害の報告も 心電図や血液検査以外に超音波検査が必要

新型コロナウイルスに感染し退院後も体調不良が続く人を対象にしたリハビリ施設で運動する男性=イタリア・ジェノバ(C)ゲッティ=共同

 また、新型コロナウイルスの重症患者群では不整脈がしばしば合併する。不整脈には、頻脈、徐脈、心休止などがあるが、QT延長(心電図波形の中でQ波とT波の間の時間が延びてしまい、心室頻拍や心室細動といった致死的不整脈を起こしやすい)等が認められることもある。欧米からの報告では、クロロキンもしくはヒドロキシクロロキンとアジスロマイシン併用に関連したQT延長とTdP(QRS波の幅と長さが1拍ご.と捻じれ振動する心室頻拍) による致死的不整脈が問題になっている。

 新型コロナウイルス感染症に対してヒドロキシクロロキンとアジスロマイシン併用による治療が有効との報告があるが、患者さんには十分な注意が必要と考えられる。

 心臓機能障害単独でも予後は悪いが、不整脈や呼吸不全が併発すると、予後は極めて悪くなる。注意が必要である。

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東丸貴信

東丸貴信

東京大学医学部卒。東邦大学医療センター佐倉病院臨床生理・循環器センター教授、日赤医療センター循環器科部長などを歴任。血管内治療学会理事、心臓血管内視鏡学会理事、成人病学会理事、脈管学会評議員、世界心臓病会議部会長。日本循環器学会認定専門医、日本内科学会認定・指導医、日本脈管学会専門医、心臓血管内視鏡学会専門医。

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