みんなの眼科教室 教えて清澤先生

高齢者の目から突然出血…深刻な病気の症状である可能性が

稀に深刻な病気の場合も…(C)PIXTA

【Q】朝は何もなかった60歳になる母の右の白目の内側が急に真っ赤に出血で染まりました。涙に血は混ざっておらず、痛みも視力低下も訴えてはいません。以前にも似た症状が起きてその時には結膜下出血と言われましたが、心配ないでしょうか?

【A】同様の症状を訴えて来院される患者さんがよくいらっしゃいます。結膜下出血とは、この例のように眼の白目に現れるくっきりした出血を表す眼科用語です。結膜下出血は急に目が真っ赤になったイメージを持たれますが、隣接する角膜や皮膚に広がらず、テノン膜(眼球の結膜と強膜の間にある薄膜のこと)と結膜の間の深さの空間に血が貯まります。特に打撲などの自覚もなく、発症時にチクッと痛かったと言う事もありますが、出血自体は一般的に無痛であり、視力低下や視界の歪みはきたしません。

 結膜下出血は、一般的にはほぼ問題ない物ですが、稀に深刻な病気の症状である可能性もありますから、一度は眼科医を受診されることをお勧めします。

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清澤源弘

清澤源弘

1953年、長野県生まれ。東北大学医学部卒、同大学院修了。86年、仏原子力庁、翌年に米ペンシルベニア大学並びにウイリス眼科病院に留学。92年、東京医科歯科大眼科助教授。2005-2021年清澤眼科院長。2021年11月自由が丘清澤眼科を新たに開院。日本眼科学会専門医、日本眼科医会学術部委員、日本神経眼科学会名誉会員など。

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