ヒドロキクロロキンは、もともとエリテマトーデスの皮膚症状を改善するほか、筋肉痛や関節痛を緩和し、さらには倦怠感など全身症状をやわらげます。抗炎症作用や免疫調節作用により、炎症症状を改善します。かつて、クロロキン網膜症で薬害事件をもたらしたクロロキンは網膜毒性が強く、2・5 %に網膜症の発症を認めました。一方、クロロキンの代謝産物であるヒドロキシクロロキンは組織親和性が低いため網膜毒性も高くはなく、0・1%まで低下しています。ですから適量であれば長期管理薬としても比較的安全に使用できるのです。しかし、網膜毒性が「ゼロ」というわけではありません。投与開始前に服薬に問題ないかを確認してから投与を開始します。
また、この薬の血中濃度が上昇しやすい肝臓病や腎臓病のある人も慎重投与が必要です。2年ほど前に、当医院はヒドロキシクロロキン使用中の眼科検査ができる施設であるかという質問を受けていました。対象患者に必要な眼科検査の項目は、視力検査、眼底撮影、網膜光干渉断層計、視野検査、そして色覚検査が入っています。当医院は、これらの検査に対応することができます。ヒドロキシクロロキン投与中には定期的に眼科検査を受け、見え方に異常が認められた場合には直ちに投与を中止し原因を精査する必要があります。長期服用時は少なくとも年に1回は眼科検査をおこない、網膜症状の早期発見に努めることになります。用量を守り、定期的なスクリーニングを行っていれば臨床的に問題となる障害が現れることは稀です。
みんなの眼科教室 教えて清澤先生