コロナ第2波に打ち勝つ最新知識

過去の治療法は有効か? 低放射線療法が再び注目されている

エボラ出血熱治療薬「レムデシビル」/(C)ロイター

「そのひとつが、放射線を低線量で肺に照射する方法です。ペルーでは、使用可能な人工呼吸器(MV)は822程度しかなく、集中治療室のベッドと人工呼吸器の不足を回避するために、この方法が試されているようです」

 米ジョンズ・ホプキンス大のまとめによると、9月7日午後3時現在でペルーの感染者数は68万3702人と米、印、伯、露に次いで5番目に多い。

「ペルーのリポートでは64歳の患者は、新型コロナウイルス感染症による肺炎を起こし、急速に進行して換気機能が悪化。両側の全肺容量に対する1Gyの放射線治療が施されて、換気機能が徐々に改善され、副作用がなかったと報告されています」

 実はこの治療法は20世紀初頭に肺炎治療で使われてきた方法。リンパ球をターゲットにすることで、重篤な肺炎患者に見られるサイトカインストームを阻止するのが狙いだ。抗生物質の発見で廃れたが、新型コロナウイルス肺炎が急激なサイトカインストームを起こし、それが致命傷になることがわかり、再度注目されているのだ。日本でもこの冬、医療崩壊が起こるようであれば、低放射線療法が必要になるかもしれない。

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