みんなの眼科教室 教えて清澤先生

涙液層の安定がなければ視力はあっても見え方は悪くなる

写真はイメージ

 眼表面の涙液層は、一旦、眼を閉じてから開いて5秒もすると、適正に濡れている部分と涙液層がカバーしきれず乾きかけた部分に分かれてしまいます。この眼表面の涙液が不足し不安定になっているのがドライアイです。ドライアイでは、「目が疲れる」、「メヤニが出やすい」、「ゴロゴロする」、「目が重い」、「乾く」、「痛い」、「涙が出る」、「かすむ」、「かゆい」、「まぶしい」、「充血する」、「10秒以上開けていられない」、など様々な訴えをします。いくつか当てはまるならドライアイの可能性があります。日本では800万人以上の方がドライアイだと言われています。

 ドライアイの検査は角膜表面の状態を見るフルオレセイン染色試験と涙液分泌量を見るシルマーテストです。まず、フルオレセイン染色試験はフルオレセインという色素を使って角膜表面を染めます。左右各眼の下眼瞼上に溜まった涙の高さを細隙灯顕微鏡で調べます。その高さの正常値は0・2~0・3mm。その後、閉瞼してから開瞼し、涙の層が破れて乾いたところが現れるまでの涙液破壊時間を調べます。正常値は5秒以上。角膜の状態が悪くなれば、点状表層角膜炎が見られるようになります。次に、シルマーテストでは、濾紙を下瞼に挟んで5分間待ち、紙の端から何ミリが濡れたかを調べます。正常値は5分間で10mm以上。いずれもドライアイには有用なテストです。

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清澤源弘

清澤源弘

1953年、長野県生まれ。東北大学医学部卒、同大学院修了。86年、仏原子力庁、翌年に米ペンシルベニア大学並びにウイリス眼科病院に留学。92年、東京医科歯科大眼科助教授。2005-2021年清澤眼科院長。2021年11月自由が丘清澤眼科を新たに開院。日本眼科学会専門医、日本眼科医会学術部委員、日本神経眼科学会名誉会員など。

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