男性が「恐怖で震え上がる」ことを、「キンタマが縮み上がる」という慣用句で表現します。この形容は必ずしも間違いとはいえません。それは緊張すると陰嚢(いんのう)の中にある精巣(睾丸)が、お腹の方に引き寄せられる(縮み上がる)ことがよくあるからです。
精巣は「精巣挙筋」という筋肉に包まれていて、お腹の方からぶら下がった状態になっています。そして緊張したり、寒かったりすると精巣挙筋が収縮してお腹の方に引き上げられます。逆にリラックスしているときや暑いときには精巣挙筋は弛緩して、陰嚢の中に収まる状態になります。
このように、そのときの状況によって精巣が上がったり下がったりすることを「移動性精巣」と言い、異常ではありません。寒暖によって縮み上がり、垂れ下がったりするのは、精巣が精子をつくる適温(34~35度)を保つためです。緊張(戦闘モード)で縮み上がるのは、外敵から精巣を守るために起こります。
専門医が教える パンツの中の秘密