専門医が教える パンツの中の秘密

5歳までにはほぼ治るが…なぜ幼児は「おねしょ」をするのか

写真はイメージ

 睡眠中に無意識におしっこをしてしまう「おねしょ」。一般的には5~6歳ごろまでに自然と治ります。5歳以降で月1回以上のおねしょが3カ月以上続く場合は、「夜尿症」と診断されます。

 しかし、なぜ幼児はおねしょをしてしまうのでしょうか。これは体の機能が発達途中であることが原因で引き起こされます。健常な成人の場合、通常、夜間の睡眠中の尿量は昼間の60%程度に減少し、膀胱(ぼうこう)容量も1.5~2倍に増えます。

 睡眠中に腎臓で作られる尿量が減少するのは、睡眠中に「バソプレッシン」と呼ばれる「抗利尿ホルモン」が脳の下垂体から多く分泌されるからです。睡眠中に膀胱容量が増えるのは、自律神経の作用によるものです。幼児は、この2つの機能が未発達なため、睡眠中の尿量が膀胱容量を超えてしまうのです。加えて、子供は生理的に睡眠が深いので目を覚ますことができず、おしっこを漏らしてしまうのです。

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尾上泰彦

尾上泰彦

性感染症専門医療機関「プライベートケアクリニック東京」院長。日大医学部卒。医学博士。日本性感染症学会(功労会員)、(財)性の健康医学財団(代議員)、厚生労働省エイズ対策研究事業「性感染症患者のHIV感染と行動のモニタリングに関する研究」共同研究者、川崎STI研究会代表世話人などを務め、日本の性感染症予防・治療を牽引している。著書も多く、近著に「性感染症 プライベートゾーンの怖い医学」(角川新書)がある。

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