最新鋭機によるハイパーサーミアでがん治療はどう変わるか

ハイパーサーミア治療器(サーモトロン─RF8)と千葉聡肝胆膵外科主任医長(提供写真)

 とはいえ、どんな治療法にも副作用はある。ハイパーサーミアの場合、脂肪組織が過度に加温されると皮下脂肪に硬結が生じ、痛みの原因となる場合がある。ただし、多くは1~2週間で消失し、後遺症も残らない。

■標準療法との併用を目指す

 しかし、この治療法が注目される本当の理由は、加熱によりがん細胞に直接ダメージを与えるからだけではない。抗がん剤のがん細胞への取り込みを向上させ、放射線の増感効果が得られることだ。しかも、ハイパーサーミアによる体温の上昇により免疫細胞であるリンパ球が活性化し、NK細胞、細胞傷害性T細胞、樹状細胞などが増殖して、がん細胞への攻撃力が強まると考えられている。

「ハイパーサーミア療法と併用すれば抗がん剤や放射線に上乗せ効果が認められ、また通常よりも少ない量で効果を得ることも可能で、それだけ抗がん剤や放射線の副作用を減らすことができます。また、放射線が効きにくいがん種もこの治療法を併用することで治療効果が上がることが実証されています。がんの総合治療を担う千葉県がんセンターがこの療法を導入する意味は、他施設ではともすれば最後の治療、緩和治療とみられがちなハイパーサーミア療法を標準治療の開始と同時に行うことで従来より少ない副作用で、従来以上の成績を上げる可能性を期待できることなのです」

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