AIが築くクスリの未来

医療業界はデジタルトランスフォーメーションが進んでいない

医療業界は意外にも「DX」が進んでいない(提供写真)

 たとえば、ガラケーからスマホに替えただけで、劇的に仕事が効率化するかというとそうではありません。スマホの機能を使いこなし、仕事やその管理をスマホで行えるように身の回りの環境を変化させることで、ようやく仕事や生活が効率化するのです。

 DXを進めて仕事や生活を効率化するためにはICT機器の導入だけでは不十分で、運用する側の「効率化したい」という意志や、効率化できるように業務内容を見直すなどの方がむしろ重要です。

 他の業界でも同じかもしれませんが、医療業界でDXが進まないのは、「業務効率化はしたいけど、業務フローを見直したくない」といった矛盾した考えを同居させている人が多いからかもしれません。

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神崎浩孝

神崎浩孝

1980年、岡山県生まれ。岡山県立岡山一宮高校、岡山大学薬学部、岡山大学大学院医歯薬学総合研究科卒。米ロサンゼルスの「Cedars-Sinai Medical Center」勤務を経て、2013年に岡山大学病院薬剤部に着任。患者の気持ちに寄り添う医療、根拠に基づく医療の推進に臨床と研究の両面からアプローチしている。

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