役に立つオモシロ医学論文

世界7.7万人のデータが語る新型コロナ家庭内での感染リスク

なるべく同居家族との接触を避ける(C)PIXTA

 昨年の春、新型コロナウイルスの感染拡大が危惧される中で「ステイホーム」という標語がさまざまなメディアを通じて発信されました。不要不急の外出を避け、家で過ごすことで、感染拡大を防ごうというものです。

 しかし、感染が拡大し始めた当初に指摘されていた「接待を伴う飲食店」よりも、現在では「家庭内」で感染する人の方が多いという状況です。そんな中、新型コロナウイルスの家庭内における感染リスクを検討した研究論文が、米国医師会が発行しているオープンアクセスジャーナルに2020年12月1日付で掲載されました。

 この研究は、20年10月19日までに世界各国で報告された新型コロナウイルスの感染経路に関するデータを統合解析したものです。54件の研究に参加した7万7758人分のデータを解析した結果、家庭内における新型コロナウイルスの感染率は16・6%と、02年に中国で発生したSARSコロナウイルスの7・5%や、12年に中東で発生したMERSコロナウイルスの4・7%よりも高いことが示されました。

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青島周一

青島周一

2004年城西大学薬学部卒。保険薬局勤務を経て12年9月より中野病院(栃木県栃木市)に勤務。“薬剤師によるEBM(科学的エビデンスに基づく医療)スタイル診療支援”の確立を目指し、その実践記録を自身のブログ「薬剤師の地域医療日誌」などに書き留めている。

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