新型コロナワクチンの疑問に答える

なぜ国産の新型コロナワクチンの開発は遅れているのか?

米ファイザー社製の新型コロナワクチン(C)ゲッティ=共同

 国内での新型コロナウイルスのワクチン接種を巡っては、米ファイザーとモデルナ、英アストラゼネカの3社が決まっている。一方、国産ワクチンは開発に出遅れており、実用化のめどは立っていない。約40年にわたりワクチン開発に従事している奥田先生に聞いてみた。

Q:なぜ国産の開発は遅れているのか

A:「そもそも国産ワクチンの生産が遅れているのは、日本には研究設備もワクチン研究者も足りないからです」

 国内の製薬会社で治験に入っているのは2社だ。先行しているのが、「アンジェス」で、大阪大などと共同で開発している。今年3月までに国内の治験で500人に接種する方針で、その後、海外を含め数万人規模の最終治験を実施する予定だ。

 もう1社が、「塩野義製薬」で、こちらは年末までに3000万人分の生産体制を整える方針。昨年12月から200人以上を対象に治験を始めているが……。

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奥田研爾

奥田研爾

1971年横浜市立大学医学部を卒業後、米国ワシントン大学遺伝学教室、ハーバード大学医学部助教授、デューク大客員教授、スイスのバーゼル免疫研究所客員研究員として勤務。2001年横浜市立大学副学長、10年から名誉教授。12年にはワクチン研究所を併設した奥田内科院長。元日本エイズ学会理事など。著書に「この『感染症』が人類を滅ぼす」(幻冬舎)、「感染症専門医が教える新型コロナウイルス終息へのシナリオ」(主婦の友社)、「ワクチン接種の不安が消える コロナワクチン114の疑問にすべて答えます」(発行:日刊現代/発売:講談社)のほか、新刊「コロナ禍は序章に過ぎない!新パンデミックは必ず人類を襲う」(発行:日刊現代/発売:講談社)が8月に発売される。

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