不妊治療 助成金制度から所得制限が外れ事実婚も対象に

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「無精子症の場合、精巣で精子は作られるもののその通り道が何らかの原因で閉塞しているものを『閉塞性(OA)』と呼び、通り道に問題はないが精子がほぼ作られていないものを『非閉塞性(NOA)』と呼びます。どちらも治療には精巣内精子採取術(TESE)を行います。ただ、OA患者は陰嚢を皮膚切開して精巣の白膜を切り開き、その組織の一部を採取する『シンプルTESE』を施行します。調査の結果、その費用は約19万円でした」

 一方、NOA患者は精巣の白膜を大きく開いて手術用顕微鏡で精巣内をくまなく探索して精子を回収する「マイクロTESE」を施行する。調査の結果、こちらの手術費用は約32万円だった。

「ところが、これまでの特定不妊治療費助成金は初回が30万円で、2回目以降は15万円の給付内容でした。そのため、助成金で手術費用をカバーすることはできませんでした。今回の改正では、給付の内容も変更し、TESEを1子につき6回以内なら1回につき30万円が給付されるようになりました(妻年齢40歳以上43歳未満の場合は通算3回まで)。また、妻の年齢が43歳未満であれば、これまでもそうですが男性に年齢制限はありません。つまり『シンプルTESE』の場合、手術費用は約19万円かかりますが、助成金制度によって、実質、自己負担なしで受けることができます。ただし、TESEで精子が採取できた場合でも、採卵を実施していない場合は助成金制度の対象外となるので注意が必要です」

 2021年1月1日以降の不妊治療の助成金制度の拡充は、妊娠を希望するカップルにとって大きなメリットだ。活用しない手はない。

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