最期は自宅で迎えたい 知っておきたいこと

病院での積極的な治療が終了しても、医療のゴールではない

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 病院からがんの患者さんの紹介があった時に「ご本人・ご家族と相談し、BSCの方針です」と言われることがあります。

 この「BSC」とはベスト・サポーティブ・ケア(Best Supportive Care)の略。効果的な対処が残されていない場合などに、積極的な治療は行わず、症状緩和の治療を行い、患者さんのQOL(生活の質)の維持に専念することを意味します。在宅医療においては、患者さんとご家族にとってテーラーメードな療養生活を支えながら取り組む医療の始まりを意味します。

 以前こんな患者さんがいました。

 その方は85歳になる胆嚢がんを患う奥さまで、すでに長男と次男は独立されていて、旦那さんと一番下の息子さんと3人で暮らしていました。入院中は化学療法を行っていましたが、ある時からこれ以上の治療はやめようとなり、最期の時間は一日でも長く家にいたいとのことで、ご本人が家族と相談し「在宅医療」に切り替え、冒頭の「BSCの方針」になったのでした。

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下山祐人

下山祐人

2004年、東京医大医学部卒業。17年に在宅医療をメインとするクリニック「あけぼの診療所」開業。新宿を拠点に16キロ圏内を中心に訪問診療を行う。

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