抗体カクテル療法の現状は…いまのところコロナ治療の「切り札」とはいえない

新型コロナの抗体カクテル療法について説明を受ける菅首相=中央(右は小池知事)/(C)共同通信社

「抗体カクテル療法は、軽症の患者さんが重症化するのを防ぐ目的で行われます。これまで重症化リスクのある21人に発症から3~7日目までに投与し、20人が重症化せずに寛解しています。1人は症状が悪化したため、レムデシビルによる治療に切り替えました。鼻咽頭のウイルス量を計測する抗原定量検査では、抗体カクテル(ロナプリーブ)を投与してもウイルス量は減らない症例もありました。新型コロナウイルス感染症は発症から10日ほどで体内に自身の抗体が作られ回復していきます。抗体カクテルは、投与してすぐに症状が軽快するわけではなく、あくまでも重症化を防ぐものです。その点では『当施設での投与成績では効果があった』といえます」

■感染が増えている若年層には使えない

 新型コロナウイルス、とりわけデルタ株は基礎疾患がない人でも急激に悪化して亡くなるケースが報告されている。軽い発熱や咳といった軽症のうちに重症化するのを防ぐ効果があるのは前進といえるだろう。しかし、コロナ治療の切り札といえるほど劇的なものではないのも事実だ。

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